ガンの治療法にについて考える

がんが<死の病>として恐れられるのは、<抗がん剤=苦しい副作用>のイメージが増強してきたという背景があるでしょう。

がん免疫療法が注目される理由のひとつには、その効果と合わせて「少ない副作用」が挙げられる。化学療法が進歩している今も、副作用を恐れる先入観は未だに根強い。従来の抗がん剤の限界と副作用について、角田教授は次のように説明する。

「抗がん剤は、効果の領域がとても狭いので投与する量の加減が難しいので、少しずつ投与量を増やしていきます。たとえば、最初に1mg投与して変化がなければ、次に2mg、さらに4mgと倍にして、患者さんが<副作用で投与できない寸前の量>を決めるのです」

「中には少ない副作用で効果の高い抗がん剤もありますが、薬剤によって効果の領域は異なります。しかし、長く使っているとがん細胞が耐性を持ち、同じ抗がん剤を使い続けることが難しくなります」
細胞増殖に関わる分子を阻害する分子標的治療も、化学療法と基本的には同様だ。角田教授は、がん細胞が抗がん剤に耐性をもつ仕組みを次のように例える。

「がんにかかわる一つの経路をブロックしても、ちょうど東京の鉄道網と同じで、すぐに違う経路が開通して人の流れができるように薬が効かなくなっていきます」
そして、免疫療法の可能性について「従来の<3本柱>の治療には、それぞれにメリットと限界があり、白血病などを除けば進行がんを食い止め、完治させることは困難でした。しかし、免疫療法は、進行した状態のがんでも完治が望める初の全身治療法となることを期待されているのです」と。
ところが最近、免疫チェックポイント阻害薬を用いて起きた重い有害事象、つまり副作用が報じられている。「少ない副作用」がウリといえる免疫療法のはずが、なぜでしょう。

 免疫チェックポイント阻害薬の場合も、当初はがん細胞そのものではなく、免疫システムに働きかけるため、抗がん剤のような副作用はないと考えられていました。

だが、角田教授は、「一般の人は、がん免疫療法といえば、副作用の少ない安全なものと思われがちですが、効果があるものには副作用が伴います」と、免疫チェックポイント阻害薬にも副作用があると説明する。

実際に2016年7月、日本臨床腫瘍学会が「適切な医療機関・医師のもと、適切な投与量・投与方法で受けてほしい」と患者向けの注意喚起の文書が公表された。

 異例の発表に至ったのは、重篤な副作用が6例、死亡に至ったケースが1例報告され、副作用に対応できない大きな問題が起きたためである。これまでに、間質性肺疾患や肝機能障害、甲状腺機能障害、重症筋無力症、1型糖尿病などの副作用が報告されている。

「免疫チェックポイント阻害薬は、抑えていた免疫のブレーキを外すため、頻度は低いですが免疫が必要以上に活性化して<暴走する>ケースがあります。これまでの治療では起きなかった自己免疫疾患に注意する必要があるのです」(角田教授)

「免疫チェックポイント阻害薬は、ステージ4のがんでも完治できる可能性を秘める反面、副作用も強いのですが、従来の抗がん剤の副作用と比較すると明らかに頻度・程度が低いのです」
では、がんを完治させる可能性を持つ免疫療法をどう考えていくべきか――。
「強力な武器には、必ずメリットとデメリットがある。状況に応じて効果的な武器を賢く使ってこそ<有利な戦い>ができます」として、こう締めくくった。

「問題視されている副作用は、治療を行う医師側も新しい薬剤に使い慣れていない点にあります。今後、副作用への対処法を身につけていけば、免疫チェックポイント阻害薬の優位性を正当に評価できるようになるはずです」

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